【カラスアゲハの卵と幼虫】見分け方や育て方、エサ、蛹の期間などについて徹底解説

蝶の幼虫・蛹
こんにちは!Nao(Xアカウント:@fujimidori123)です!

この記事ではカラスアゲハの幼虫の飼育記録を基に、幼虫のエサや育て方、アゲハ類との幼虫の見分け方について解説をしていきます。

2015年6月13日に栃木県日光市で観察したカラスアゲハ

カラスアゲハの紹介

カラスアゲハは、クロアゲハほどではありませんが都心部でも比較的見かける機会の多いアゲハチョウ科の蝶です。分布も広く、北海道、本州、四国、九州で普通に見ることができます。

カラスアゲハとオキナワカラスアゲハ、ヤエヤマカラスアゲハは以前は同種として扱われていましたが、交配実験等で詳細な分類の研究がなされ、その結果から現在は別種とされています。

ミヤマカラスアゲハほどではないものの、翅の表面の青緑色に輝く鱗粉が美しい蝶です。季節型がはっきりしており、春型は小型で夏型は大型となります。

  • 食草:カラスザンショウやカラタチなどのミカン科の植物
  • 分布:北海道から九州まで広く分布
  • 成虫が見られる時期:4月頃から10月頃まで
  • 生息環境:農地や民家、公園など

日本蝶類図説(1904年の図鑑)に掲載されているカラスアゲハ

1904年に出版された日本蝶類図説(宮島幹之助)という図鑑があります。まずは、ここに記載されているカラスアゲハを紹介します。

日本蝶類図説では、カラスアゲハの産地として「琉球」の記載があります。現在は沖縄の種は別種(オキナワカラスアゲハ、ヤエヤマカラスアゲハ)と分類されているため、現在はカラスアゲハは沖縄には生息していません。

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

翅皆黒く青藍色の粉鱗散布し、殊に翅の基部に多し。前翅後縁に近く天鵞繊様の廣き綛あり。近縁は白し。後翅外縁に青藍色の半月紋列あり。肛角紋内に赤色の新月紋あり。外縁の鋸歯は緩く、歯縁は白し。裏面前翅の基部脉及び外縁は黒鳶色を呈し、他は淡鳶色なり。尚脉間には黒條あり。後翅内半部に暗黄色の粉鱗多く、外縁に赤色の半月紋列あり。夏生は春生よりも大く、殊に雄は雌よりも其色彩に甚だ變化多し。

●期節 三月ー十月

●産地 本島、四国、九州、琉球、北海道

●仔虫 あげはの仔虫の酷似し、きはだ、しころ等柑橘類の葉を食す。(グレーザー)

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

成虫の写真

2015年6月13日に栃木県日光市で観察したカラスアゲハ
2015年7月14日に北海道小樽市に観察したカラスアゲハ

カラスアゲハの幼虫のエサ

ヘンルーダの葉を食べるカラスアゲハの幼虫

カラスアゲハの幼虫はミカン科の植物の葉を食べます。例えば、カラスザンショウやサンショウ、ヘンルーダ等です。我が家では、庭に植えてあるヘンルーダにカラスアゲハが卵を産みに来ました。

カラスアゲハの幼虫の飼い方・育て方

カラスアゲハは、卵から孵化したあと、基本的には4回脱皮を行って蛹になります。孵化直後の幼虫を1齢幼虫といい、1回脱皮をした後の幼虫を2齢幼虫といいます。その後は脱皮を繰り返すたびに、3齢幼虫、4齢幼虫、5齢幼虫となり、蛹になります。

卵から孵化

カラスアゲハの産卵直後の卵

カラスアゲハの幼虫は産卵直後は黄色の球体です。卵の大きさは1mm程度です。この卵はヘンルーダの葉に産み付けられました。

カラスアゲハの孵化直前の卵

産み付けられた直後は黄色ですが、孵化が近づくと徐々に変色して黒ずんできます。

1齢(初齢)幼虫

カラスアゲハの孵化直後の1齢幼虫

孵化直後のカラスアゲハの1齢幼虫です。大きさは数ミリ程度の非常に小さい幼虫です。孵化した幼虫は卵の殻を食べます。1齢幼虫は黒と白の鳥の糞に擬態した模様をしていますが、アゲハチョウやクロアゲハと比べると黄色が強い色をしています。

2齢幼虫

カラスアゲハの2齢幼虫

1齢幼虫が脱皮をして2齢幼虫になります。体長は7mm程度です。2齢幼虫も鳥の糞に擬態した模様です。

3齢幼虫

カラスアゲハの3齢幼虫

2齢幼虫が脱皮をして3齢幼虫になります。大きさは8mm程度です。3齢幼虫も鳥の糞に擬態した模様ですが、やはりアゲハチョウやクロアゲハと比較すると黄色が強いです。

4齢幼虫

カラスアゲハの4齢幼虫

3齢幼虫が脱皮をして4齢幼虫になります。大きさは1㎝を越えます。4齢幼虫も鳥の糞に擬態した模様です。この個体は間もなく脱皮をして5齢幼虫になるため、緑色が強くなってきています。

5齢(終齢)幼虫

カラスアゲハの5齢幼虫

4齢幼虫が脱皮をして5齢(終齢)幼虫になります。終齢幼虫になると緑色になります。大きさは2~3㎝程度になります。終齢幼虫は食欲が旺盛で、かなりの量の食草を食べます。

カラスアゲハのツノ(臭角)

カラスアゲハの幼虫は刺激を与えると身を守るために臭いのあるツノ(臭角)を出します。アゲハの種類によって色が異なりますが、カラスアゲハは黄色をしています。

カラスアゲハとアゲハ類の幼虫の見分け方まとめ

カラスアゲハとアゲハ類(アゲハチョウ、クロアゲハ、キアゲハ)の幼虫の見分け方は次の通りです。

  • カラスアゲハの1齢から4齢幼虫は、幼虫は他のアゲハ類の幼虫よりも黄色が強い色をしています。
  • カラスアゲハの5齢幼虫は、頭部に黒い線の独特の模様があります。
  • カラスアゲハの角は黄色です。

1齢から4齢幼虫の見分け方

5齢(終齢)幼虫の見分け方

アゲハの幼虫の見分け方

臭角の色の違い

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