アゲハチョウの観察や飼育をしていると、次のような疑問を感じることがあります。
- アゲハチョウはどうやって越冬するの?
- 秋にアゲハチョウの幼虫が蛹になったけど、全然動かない。生きてるのかな?
- 越冬する蛹の見分け方は?
1つ目の疑問について最初に答えます。アゲハチョウは蛹で越冬します。アゲハチョウは成虫や卵や幼虫では越冬しません。そのため、秋に蛹になったアゲハチョウは、蛹の状態のままで冬を越します。
では、すぐに羽化する蛹と越冬する蛹で何か違いはあるのでしょうか?越冬蛹の特徴は何でしょうか?
この記事では、アゲハチョウの越冬蛹の実際の飼育記録を基に、越冬蛹の特徴や見分け方を紹介します。
越冬蛹の特徴と見分け方
アゲハチョウの越冬蛹の特徴と見分け方を紹介します。まずは写真で越冬蛹と越冬しない蛹を比べます。
茶色の蛹の場合
まずは越冬蛹です。オレンジ味が強いことが分かります。
次に越冬しない蛹です。越冬蛹と比較して茶色味が強いことが分かります(※例外もある)。
越冬蛹はオレンジ色味が強いことに対して、越冬しない蛹は茶色味が強いことで越冬蛹をある程度見分けることができます(※例外も存在します)。
緑色の蛹の場合
緑色の蛹の場合は、越冬蛹と越冬しない蛹の見た目の違いは明確ではありません。
越冬蛹の見分け方まとめ
通常、10月でまだ幼虫のアゲハチョウがいれば、それは越冬蛹となります。越冬蛹は上記の通り、茶色の蛹であれば、蛹の色味である程度見分けることができますので、是非観察してみて下さい。
実際の越冬蛹の飼育事例の紹介
我が家では自宅の庭をバタフライガーデンにしており、アゲハチョウの幼虫の食草であるミカン科の植物を植えているため、アゲハチョウがよく卵を産みに来ます。
アゲハチョウの幼虫は4月頃から10月頃まで見られ、10月頃の幼虫は越冬蛹となります。ここでは、10月上旬に観察できた幼虫の実際の観察記録を紹介します。
【飼育事例①】10月上旬で2齢幼虫のアゲハチョウの幼虫
10月10日にアゲハチョウの2齢幼虫をバタフライガーデンで捕獲しました。食草はヘンルーダです。この個体を野外で継続観察することにしました。
真夏であればアゲハチョウの幼虫は1齢幼虫から5齢幼虫になるまで10日程度ですが、気温が低くなると成長は著しく遅くなります。この個体は2例幼虫から10日以上経ってもまだ3齢幼虫です。蛹になるまではまだまだ時間がかかりそうです。どんどん気温は下がっていますが、無事に蛹になってくれるのでしょうか。
11月5日にようやく5齢(終齢)幼虫になりました。2齢幼虫から観察を続けて、終齢幼虫になるのに1か月近く要しました。終齢幼虫の大きさは20mm程度であり、非常に小さい終齢幼虫でした。
この個体は無事に蛹になれるのか、現在も観察を継続中です。
【飼育事例②】10月上旬で3齢幼虫のアゲハチョウの幼虫
10月10日にアゲハチョウの3齢幼虫をバタフライガーデンで捕獲しました。食草はヘンルーダです。この個体を野外で継続観察することにしました。
この個体は残念ながら10月15日に息絶えてしまいました。寒さに負けたのか、脱皮に失敗したのかは不明です。
【飼育事例③】10月上旬で4齢幼虫のアゲハチョウの幼虫
10月10日にアゲハチョウの4齢幼虫をバタフライガーデンで捕獲しました。食草はヘンルーダです。この個体を野外で継続観察することにしました。
10月13日には4齢幼虫から5齢幼虫に脱皮しました。脱皮が上手くいかなかったのか、食草から落ちてしまっていたので、拾い上げて食草であるヘンルーダの葉の上に戻しました。気温が低くなると脱皮が上手くいかないことが多くなる印象があります。
この幼虫は10月30日に蛹になりました。5齢幼虫から蛹になるまで、半月以上かかりました。真夏であれば数日で蛹になりますが、気温が低くなると蛹になるのに多くの日数を必要とすることが分かります。
【飼育事例④】10月上旬で終齢(5齢)幼虫のアゲハチョウの幼虫
10月9日にアゲハチョウの5齢幼虫をバタフライガーデンで捕獲しました。食草はヘンルーダです。この個体を野外で継続観察することにしました。
この幼虫は、10月17日には前蛹の状態になりました。10月に入り気温が低くなってきたため、越冬蛹になると思われます。
前蛹になったアゲハチョウは、次の日の10月18日に観察すると無事に蛹となっていました。この時は緑色の蛹でした。
緑色の蛹になった次の日(10月19日)に蛹を見てみると、茶色の蛹に変色していました。この蛹は越冬蛹ですので、この状態で冬を越し、翌年の3月から4月頃に春型のアゲハチョウとして羽化します。
【飼育事例⑤】11月30日で終齢(5齢)幼虫のアゲハチョウの幼虫
越冬蛹の多くは10月から11月上旬頃に蛹になりますが、中には11月下旬や12月になっても幼虫のままの個体もいます。下の写真の個体は野外の飼育個体で、11月30日になってようやく蛹になる準備を始めました。
多くの個体は寒さに耐えられませんが、中には寒さに耐えて12月頃になって蛹になる個体もいます。
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