ヒラタクワガタを育ててみたい。飼育するために何か特別なことが必要なのでしょうか?
ヒラタクワガタは日本で有名なクワガタの1種で、平べったいことからヒラタクワガタと名付けられました。大型のクワガタであり人気のクワガタの1種です。ヒラタクワガタを飼育してみたいという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ヒラタクワガタの成虫の飼育方法について解説をします。この記事を最後までお読みいただけば、その日からヒラタクワガタを飼育できるようになります。
ヒラタクワガタの紹介
ヒラタクワガタの生息環境
ヒラタクワガタは日本に広く生息しますが、東日本では生息数はやや少なく、西日本ではやや多い傾向があります。大型のクワガタであり、オオクワガタやミヤマクワガタ、ノコギリクワガタと並んで日本を代表するクワガタの1種です。平べったいフォルムをしていることからヒラタクワガタと名付けられましたが、実際は厚みもあるクワガタです。
ヒラタクワガタは他のクワガタと同様に、クヌギやコナラなどの樹液をエサとします。活動時間は主に夜間なので、夜間に樹液が出ている木を探しに行くと、野生のヒラタクワガタに出会える可能性が高まります。
ヒラタクワガタの亜種
いわゆるヒラタクワガタと呼ばれる種は、ヒラタクワガタ、チョウセンヒラタクワガタ、スジブトヒラタクワガタの3種類に分類されます。さらにそこから、12の亜種に分類されており、離島に生息するヒラタクワガタはほとんどの場所で別亜種とされています。
- ヒラタクワガタ
- チョウセンヒラタクワガタ
- スジブトヒラタクワガタ
ヒラタクワガタの寿命
ヒラタクワガタは越冬し、一般的に3年程度生きます。エサや飼育環境(低温飼育)により、4年以上生きたという個体もおり、長寿のクワガタと言えます。
ヒラタクワガタの成虫の飼い方・育て方
ヒラタクワガタを飼育するためには、まずは飼育セットを組みましょう。
飼育セットの作り方
ヒラタクワガタを産卵させることを目的としない場合、飼育セットはカブトムシと同じで問題ありません。具体的には以下3点です。
- 飼育ケースにマット(土)を入れる。
- 転倒した時に起き上がれるように、朽ち木・止まり木を入れる。
- エサとなる昆虫ゼリーをセットする。
温度と保湿管理
ヒラタクワガタの飼育セットが準備できれば、あとは適切に温度と湿度を管理すればヒラタクワガタは長生きをします。
ヒラタクワガタの適温は20℃から28℃です。
30℃以上の飼育環境下ではヒラタクワガタが弱ってしまう恐れがありますので、温度管理は適切に行いましょう。室温が30℃以上になってしまう場合の温度管理の方法は次の2つがあります。
また、ヒラタクワガタは他のクワガタと同様に乾燥に弱い種です。マットは霧吹きなどで保湿をするようにしましょう。保湿の目安としては、マットを握った時に団子になる程度です。加湿のし過ぎもヒラタクワガタを弱らせる原因になりますので、保湿管理は適切に行いましょう。
ヒラタクワガタを育てるために必要なもの
【必要なもの①】飼育ケース(虫かご)
ヒラタクワガタは大型のクワガタであるため、サイズが”中”以上のケースを選ぶようにしましょう。オスを同じケースに複数頭入れて育てると喧嘩をして寿命を縮めてしまいますので、オスは必ず1ケースで1匹としましょう。
コバエが気になる人は、コバエを防ぐことができる飼育ケースを購入するようにしましょう。
【必要なもの②】マット
ヒラタクワガタを飼育するための専用マットをホームセンターや通販などで購入することができます。飼育マットは必須のアイテムですので、飼育前に必ず購入しておくようにしましょう。飼育マットには様々な種類があるので、目的にあったマットを選ぶようにしましょう。ポイントは以下の通りです。
- ヒラタクワガタを産卵させて幼虫を育てたいと考えている場合は、クヌギなどでできた産卵・幼虫飼育用のマットを選ぶようにしましょう
- 産卵を考えておらず、ダニなどの発生を防ぎたいと考えている場合は、ヒノキなどの針葉樹でできたダニやコバエなどの発生を抑えるマットを選ぶようにしましょう。
【必要なもの③】朽ち木・止まり木・エサ皿
ヒラタクワガタは転倒してしまうと、自力で起き上がることができません。そのため、起き上がる時に掴まれる朽ち木などを置いておくことが必要です。
また、エサ皿があれば、ゼリーが周りに飛び散り、マットが汚れるのを防ぐことができます。エサ皿は必須ではありませんが、あると便利なアイテムです。
【必要なもの④】昆虫ゼリー
ヒラタクワガタは昆虫ゼリーで育てることができます。昆虫ゼリーの他、バナナやリンゴなどで育てることもできますが、水分量の多いスイカやメロンなどは体調を崩すおそれがありますので与えないようにしましょう。昆虫ゼリーは3日に1回は交換するようにしましょう。産卵をさせる場合はプロゼリーなどの高タンパクのゼリーがオススメです。
【必要なもの⑤】虫よけシート
コバエの侵入を防止する飼育ケースを使用している場合は不要ですが、普通の飼育ケースを使用している場合で、コバエの侵入を防止したい場合は、虫よけシートを使うことをオススメします。飼育ケースの蓋にかさみ込むことで、コバエの侵入を防止することができます。虫よけシートには以下のメリットがあります。
- コバエの侵入を防止できる
- 昆虫マットの乾燥を防ぐことができる
- 臭いを防ぐことができる
ヒラタクワガタの入手方法
ヒラタクワガタの成虫を入手する方法は主に以下3つがあります。
- 野生のヒラタクワガタを捕まえる方法
- ホームセンターなどで購入する方法
- 累代飼育する方法
野生のヒラタクワガタを捕まえる
ヒラタクワガタはクヌギやコナラなどの樹液をエサとしています。昼間のうちに樹液が出ている木を見つけて、夜に採集に出掛けてみてはいかがでしょうか。
ホームセンターなどで購入
ホームセンターや通販などで、数千円でヒラタクワガタを購入することができます。野生の採集が難しい人は、ホームセンターや通販での購入を検討してみましょう。
累代飼育する
ヒラタクワガタを産卵させて幼虫を育て、次世代のヒラタクワガタの成虫を育てることを累代飼育と言います。累代飼育が上手くできれば、ヒラタクワガタをどんどん増やしていくことができます。
ヒラタクワガタの産卵セットの組み方
ヒラタクワガタの産卵セットの組み方を解説します。
交尾をするまで
野生で捕まえてきたヒラタクワガタのメスは、8割程度の確率で交尾済みです。
なので、野生のヒラタクワガタ(WD(ワイルド)といいます)は交尾をさせなくても卵を産む可能性が十分にあります。一方で、交尾をまだしていないヒラタクワガタを交尾させるためには、同居ペアリングとハンドペアリングの2つの方法があります。
同居ペアリング
同居ペアリングとは、ヒラタクワガタのオスとメスを同じケースに入れることで始まる交尾のことをいいます。
ハンドペアリング
ハンドペアリングとは、ヒラタクワガタのオスを人為的にメスの上に乗せることで始まる交尾のことをいいます。同居ペアリングでメスが交尾を拒否する場合でも、ハンドペアリングで交尾が始まることもあります。交尾を自分の目で確認することができることが大きなメリットです。
交尾をする時期
ヒラタクワガタは蛹から羽化して間もない個体は繁殖能力がないため、交尾を行うことができません。一般的には、羽化して3か月程度経過した個体は繁殖能力がつき、交尾ができる状態となっています。昆虫ゼリーを食べ始めるタイミングが目安となります。
交尾をしてから産卵するまで(産卵セットの組み方)
交尾を終えたヒラタクワガタは、産卵セットを組んでその中に入れると卵を産み始めます。ヒラタクワガタは、産卵木とマットの両方に卵を産みます。それぞれの産卵セットの組み方を解説します。
産卵セットの組み方①:産卵木に産卵
ここでは産卵木に産卵する手順を紹介します。
以下では、それぞれのステップに分けて具体的に解説をします。
産卵セットの組み方②:マットに産卵
マットに産卵させる場合は、産卵木の準備は不要です。
具体的な手順を以下で解説します。
孵化後の幼虫の飼い方・育て方
割り出し後の幼虫の管理
割り出して取り出したヒラタクワガタの幼虫は、以下の2つの方法で成長させることができます。
- 菌糸ビンで飼育する。
- 発酵マットで飼育する。
菌糸ビンで飼育する
菌糸ビンとは細かく砕いたクヌギなどの広葉樹のマットにキノコの菌を繁殖させたものです。菌糸ビンは通販などで購入することができます。ヒラタクワガタの幼虫は、菌糸を食べて成長します。2~3か月で交換し、蛹になるのを待ちます。
発酵マットで飼育する
菌糸ビンを使わなくても、クヌギやコナラなどの広葉樹の発酵マットで飼育することもできます。ホームセンターや通販などで、クワガタの幼虫の飼育用のマットを購入すれば、問題なく育ちます。
温度管理と湿度管理
温度管理は非常に重要です。30℃を越えるような状態は避けて、25℃~28℃をキープするようにしましょう。30℃を越える環境に置いておくと死んでしまうリスクが高まります。
また、マットは乾燥しないよう、定期的に霧吹きを吹きかけるなど、マットは適度な湿度を保つようにしましょう。湿りすぎていると、カビが生えることがありますので、過度に湿度を高めるのも避けるようにしましょう。
コメント