北海道は蝶の宝庫で、本州では珍しい蝶が普通に生息していることがあります。例えば以下で紹介するオオイチモンジやコヒオドシです。これらの蝶は、本州では標高の高い山にしか生息しない、いわゆる高山蝶と呼ばれる蝶ですが、北海道では平地で普通に観察することができます。これらの蝶は、私自身これまでなかなか観察できなかった蝶であり、飛んでいる姿を見るととても嬉しくなります。
この記事では、これまでに北海道で観察した蝶を紹介します。なお、大雪山で観察した高山蝶については以下の記事で紹介していますので、興味があればこちらも是非ご覧ください。
7月12日、14日に北海道小樽市で観察した蝶
観光と蝶の観察を兼ねて北海道の小樽市に2015年7月に行きました。この時期に北海道に行く目的はゼフィルスを観察することです。北海道小樽市は、カシワの防風林があり、ここに多くのゼフィルスが生息しています。私はこれまでに行ったことが無く、この日が初めての訪問でした。
2015年7月12日と14日の2日間で、10種類の蝶を観察することができました。ここでは、その10種類のうち、ゼフィルスを中心に7種類の蝶の写真を紹介します。
キタアカシジミ
この日に目標としていたキタアカシジミは無事に観察することができました。カシワ防風林に非常に多くのキタアカシジミが生息していて、夕方ごろになると一斉に飛び始めます。ですが、なかなか撮影できる高さにきてくれなかったため、良い写真を残すことはできませんでした。
ウスイロオナガシジミ
ウスイロオナガシジミを観察することができましたが、こちらも上で紹介したキタアカシジミ同様に、遠い場所にしかおらず、良い写真を残すことができませんでした。遠くの方に、何やら白い小さい蝶がひらひらと飛んでいるのを見つけ、葉の上にとまったところを望遠レンズで撮影してウスイロオナガシジミと判別することができました。ウスイロオナガシジミの観察は初めてでしたので、良い写真は撮影できませんでしたが、満足することができました。
エゾミドリシジミ
林道を歩いていると、卍巴飛翔するゼフィルスを見つけました。後々写真をよく見たところ、エゾミドリシジミだということが判明しました。長い時間卍巴飛翔をしていましたので、長時間観察を楽しむことができました。
ウラゴマダラシジミ
平地性ゼフィルスの1種であるウラゴマダラシジミも観察することができました。
ヒメシジミ
足元をひらひらと飛ぶシジミチョウがいて、ヤマトシジミやルリシジミかなと思ったらヒメシジミでした。本州ではヒメシジミはそれほど見る機会は多くないのですが、北海道ではこの場所以外にも様々な場所で見ることができます。北海道では普通種と言ってもよいかもしれません。
オオモンシロチョウ
オオモンシロチョウは北海道や青森県、岩手県に生息していて、関東地方では見ることができないシロチョウ科の蝶です。元々は日本に生息していなかった蝶で、1995年に初めて北海道で観察されました。ロシアから入ってきたと推測されています。
キバネセセリ
キバネセセリは本州にも生息していますが、それほど数が多くないため、頻繁に出会う蝶ではありません。そのキバネセセリを北海道で観察したので、写真を紹介いたします。
2015年7月15日に北海道伊達市で観察した蝶
2015年7月に観光と蝶の観察を兼ねて北海道に行ってきました。前半の7月12日から14日にかけては北海道小樽市に行き、翌日の15日は伊達市を回りました。北海道伊達市では9種類の蝶を観察しましたが、ここではそのうちの4種類の蝶について写真付きで紹介します。
オオイチモンジ
まずはオオイチモンジです。オオイチモンジは本州では主に標高1000m-2000m程度の標高の高い場所にのみ生息する蝶ですので、なかなか観察する機会がありません。私はこれまでに上高地で観察したのみです。ですが、ここ北海道では平地でも生息しています。この日は車で移動中に、オオイチモンジと思われる蝶を発見して車を止めました。
残念ながらその時見たオオイチモンジは遠くへ飛んで行ってしまいましたが、ふと道路を見ると、車にひかれたオオイチモンジを見つけました。すでに死んでしまっていましたが、これが北海道で初めて見るオオイチモンジでした。
コヒオドシ
次にコヒオドシです。コヒオドシも本州では高山にのみ生息する蝶で、これまで私は北海道でしか本種を見たことがありません。北海道では比較的普通に生息していて、何度か目撃する機会がありました。北海道と本州ではそれだけ気候が違うということだと思いますが、本州では非常に珍しい蝶ですので、これ程普通に生息しているのを見ると不思議な感覚になります。
コヒョウモン
コヒョウモンも本州ではそれほど目撃機会の多い蝶ではありません。この日は空き地になっている場所を入って行ったところ、コヒョウモンに出会うことができました。
ヒメシジミ
ヒメシジミは本州では減少が著しい蝶ですが、北海道では広い範囲で比較的普通に生息しています。
2014年8月18日に紫竹ガーデンで観察した蝶
北海道への観光を兼ねて、帯広市にある紫竹ガーデンに蝶の観察に行きました。北海道は未知の場所で、この場所にどういった蝶が生息しているのかは全くの不明の状態でしたが、試しに一度行ってみることにしました。
紫竹ガーデンがどの様な場所かもよくわからず行きましたが、行ってみると多くの花が辺り一面に咲いていていて非常に美しかったです。これは蝶が吸蜜しに来そうです。期待を膨らませながら蝶の観察を始めました。
結果として紫竹ガーデンでは合計で9種類の蝶を観察することができました。その中で、以下ではアカマダラ、ゴマシジミ、エゾスジグロシロチョウの写真を紹介します。
アカマダラ
アカマダラはこれまでに見たことがない蝶で、この日の目的の1種でしたが、紫竹ガーデンに入ってすぐに足元に飛ぶアカマダラを見つけることができました。見た目は本州にも生息するサカハチチョウにそっくりですが、この蝶は北海道にのみ生息する蝶です。北海道内ではそれほど珍しい蝶ではないのですが、そもそも北海道で蝶を観察する機会があまりないため、物凄く珍しい蝶を見つけた気分になります。
ゴマシジミ
ゴマシジミは本州にも生息する蝶で、本州では生息数が激減していて、現在はほとんど見ることができません。一方で、ここ北海道ではまだ普通に見られる蝶です。この日は1頭のゴマシジミを観察できました。とても遠くに止まっていたため、望遠で何とか撮影できました。
エゾスジグロシロチョウ
エゾスジグロシロチョウは北海道のみに生息する蝶で、紫竹ガーデンでは非常に多くの個体を観察することができました。スジグロシロチョウ・ヤマトスジグロシロチョウ・エゾスジグロシロチョウは見た目が非常に似ていて、なかなか見分けるのが難しいく、いつも悩んでいます。
2014年8月18日に釧路湿原で観察した蝶
釧路湿原は北海道にある日本最大の湿原です。自然保護の取り組みも行われており、現在でも広大な湿原が残されていて、自然豊かな環境が今でも維持されています。この様な釧路湿原に、どういった蝶が生息しているか気になっている方は多いのではないでしょうか。
私は2014年8月18日に釧路湿原に行ってきました。この時に行ったのは、釧路湿原温根内ビジターセンター周辺で、釧路湿原全体から見るとほんの一部でしかありませんが、その中で何種類かの蝶を観察することができましたので、この記事ではその時に観察できた蝶を紹介します。
オオヒカゲ
オオヒカゲは北海道と本州に分布しますが。本州ではその数を大きく減らしており、なかなか観察することができません。しかし、北海道ではまだまだ見られる蝶で、ここ釧路湿原でも何頭か観察することができました。良い場所に止まっていなかったため、見にくい写真となってしまいましたが、オオヒカゲであるということは確認できるかと思います。
フタスジチョウ
フタスジチョウは北海道から本州にかけて生息する蝶ですが、ここ北海道に生息する種は北海道亜種として分類されています。北海道亜種の特徴としては、白斑が顕著に発達し、白帯も非常に広いことです。本州のフタスジチョウと比較するとその差は歴然です。本州では局地的にしか生息していない蝶ですが、北海道では平地から山地にかけて普通に生息しています。釧路湿原でも見ることができました。
ミドリシジミ
この場所で最も驚かされたのは、ミドリシジミの生息数でした。異常発生かなと思うレベルで、ミドリシジミがそこらじゅうを飛び回っていました。私はこれまでに、これ程ミドリシジミが密に発生している場所を見たことがありません。
ヒメシジミ
最後にヒメシジミです。観察できた個体は多くはありませんでしたが、ここ釧路湿原でも生息していることを確認しました。釧路湿原に限らずヒメシジミを観察することができたので、本州では数を減らしていてなかなか見られない蝶という印象ですが、北海道ではまだまだ普通に生息しているようです。
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