- ギフチョウに興味がある
- 関東周辺に住んでいて、ギフチョウを一度見てみたい
この記事では上記を知りたい人向けに、南関東地方で唯一ギフチョウが観察できる神奈川県の石砂山(いしざれやま)という場所を紹介します。
関東地方のギフチョウ
ギフチョウは今では関東地方でこの石砂山周辺にのみ生息しますが、かつてはもっと広い範囲に生息をしていました。昔は多摩丘陵が太平洋側の分布の東限でしたが現在は絶滅しています。また、1973年ごろまでは、八王子の高尾山一帯の小仏峠などでも採集されています。
今は絶版になっている「ギフチョウ88か所めぐり(蝶研出版)」という本を見ると、以下の記載があります。
今からもう20年以上も前の話になるが、私が中学1、2年生の頃、ギフチョウ採集といえば、裏高尾か小倉山と決めており、夏休みの天気の良い日には毎日のように通ったものである。
どこにでもといってよいほどギフチョウが見られた。経験の浅かった私にとっては、ギフチョウよりも、むしろ目立ちにくいコツバメの方が珍しい蝶に思えて夢中になって採集していた記憶が残っている。
『ギフチョウ88か所めぐり』(蝶研出版、1989年3月10日)
このことからも、1970年頃までは裏高尾のあたりで普通に見られたことがわかります。また、神奈川県内にも1960年代頃までは、小倉山、天狗松、三増峠、志田峠、半原、韮尾根、石老山など多くの生息地がありました。
しかしながら、南関東地方では石砂山を除いてすべての場所でギフチョウは絶滅してしまいました。石砂山の環境だけは、何とか残していきたいものです。なお、石砂山に生息するギフチョウは、「ギフチョウとその生息地」として神奈川県指定天然記念物に指定されていて、採集などが禁止されていますのでご注意下さい。
石砂山は、山麓の駐車場から徒歩で山頂に登ることができます。標高は578mとそれほど高くないため、登山初心者でも比較的簡単に登れる山ですので、手軽にギフチョウを見に行くことができます。以下では、石砂山で確認できた蝶を紹介します。
2023年4月10日に石砂山で観察した蝶の写真
3月20日にギフチョウの姿が観察できなかったので、リベンジで4月10日に再度石砂山に行くことにしました。
登山道の途中で、カンアオイの葉を裏返すとギフチョウの卵がありました。
その後、山頂に行くとギフチョウが複数頭飛んでいるのを確認しました。この場所ではまだ、それなりの数のギフチョウが生息していることを確認できました。
2023年3月20日に石砂山で観察した蝶の写真
2023年3月20日に石砂山に行きました。ギフチョウはソメイヨシノの開花と同時期に発生を始めます。2023年は暖かい日が多く、ソメイヨシノの開花が早く、3月20日時点ですでに開花していましたので、ギフチョウの発生を期待して行ってみました。その結果、、、、
結果としては、3時間程度滞在しましたが、この日はギフチョウを観察することはできませんでした。まだ少し時期が早かったかもしれません。確実にギフチョウを観察したい人は、3月末から4月上旬に観察をしましょう。
この日観察できたのは、ヒオドシチョウとテングチョウ、ミヤマセセリの3種類でした。この3種類の蝶は非常に多くの個体が観察できました。
ヒオドシチョウとミヤマセセリは山頂に多く、テングチョウは麓に多くの個体がいました。
2015年4月19日に石砂山で観察した蝶の写真
2015年4月19日に石砂山で観察したギフチョウ、ヒオドシチョウ、ミヤマセセリを紹介します。
ギフチョウ
まず最初に紹介するのはギフチョウです。ギフチョウは石砂山の中腹から山頂にかけて生息しいて、私が登った2015年4月19日は数頭観察することができました。関東でギフチョウを観察するのは初めてでしたので、非常に良い経験になりました。しかしながら、なかなか良い位置に止まってくれなかったため、良い写真を残すことができませんでした。
ギフチョウの幼虫の食草であるカンアオイも確認することができました。卵の確認はできませんでしたが、生息環境は維持されていることが確認できました。
ヒオドシチョウ
この日はヒオドシチョウも観察することができました。ヒオドシチョウは成虫で越冬する蝶で、翅のボロボロ具合から越冬した個体であると思われます。
ミヤマセセリ
ギフチョウと同じく春先にのみ成虫が観察できる、いわゆるスプリング・エフェメラルの1種であるミヤマシジミも観察することができました。
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