アゲハチョウやモンシロチョウの幼虫を育てたいと思っているけど、蝶の幼虫はよく寄生されると聞く。何か対策はある?
蝶の幼虫が無事に成虫になる確率は1%から2%程度と言われています。幼虫が途中で死んでしまう原因の1つとして、卵や幼虫、蛹がハエやハチなどに寄生されてしまうことがあります。
この記事では、卵・幼虫・蛹のそれぞれの段階で、実際に寄生された事例を紹介します。
【事例①】寄生された卵
アゲハチョウの卵はハチやハエなどに頻繁に寄生されます。卵の内部に卵を産み付けられ、内部が接触されます。
寄生された卵は、この写真の様に真っ黒になり、時間が経つと卵内部からハチやハエが出てきます。アゲハチョウの幼虫が孵化することはありません。
アゲハチョウの卵は通常、1週間程度で孵化しますが、2週間経っても孵化しない場合は寄生されているか、無精卵である可能性を疑った方が良いかもしれません。
【事例②】アオムシコマユバチに寄生された幼虫
アオムシコマユバチは、モンシロチョウの幼虫に寄生する代表的な寄生虫です。モンシロチョウの幼虫の多くは、このアオムシコマユバチに寄生されているので、幼虫を捕まえてきて飼育する時は注意が必要です。
アオムシコマユバチは、若い年齢のモンシロチョウの幼虫を探し出し、幼虫の体内に数十個の卵を産み付けます。幼虫の体内で孵化したアオムシコマユバチの幼虫は、モンシロチョウの幼虫の体内を摂食して、モンシロチョウの幼虫が蛹になるタイミングで外に出てきて蛹になります。寄生されてしまうと、モンシロチョウの幼虫は蛹になることはできません。
アオムシコマユバチは、モンシロチョウが食べた食痕を探して、モンシロチョウの幼虫を見つけます。寄生するのは、3齢幼虫までの年齢の若い幼虫で、年齢の大きい幼虫に寄生した場合は、モンシロチョウの幼虫が先に蛹になるため、寄生に失敗することがあります。
【事例③】ヤドリバエに寄生された蛹
寄生された幼虫が蛹になると、蛹の色が茶色に変色し、黒い点ができます。この状態になったら、寄生されている可能性が高いと言えます。
幼虫から蛹になった直後は綺麗な緑色をしていますが、その後数日で突然茶色に変色をします。なお、アゲハチョウの幼虫は緑色ではなく、最初から茶色の蛹もあります。最初から茶色の蛹は、変色に気付きにくいので注意が必要です。
ヤドリバエはアゲハチョウに寄生するハエの1種です。寄生されたアゲハチョウの蛹からヤドリバエの幼虫が出てきて蛹になります。この蛹からは、2匹のヤドリバエの幼虫が出てきて蛹になりました。
寄生虫の有効な対策を解説
上で紹介したように、蝶の卵や幼虫、蛹は頻繁に寄生されます。ここでは、ハエやハチから寄生されるのを防ぐ方法を紹介します。当然ですが、寄生虫たいさくとして殺虫剤をまくのはやめましょう。蝶の幼虫が死んでしまいます。
産卵直後の卵を室内で飼育する
産卵直後の卵を採取すれば、その卵が寄生されている確率はありません。成虫が産卵する姿を確認し、その直後の卵を採取するようにしましょう。
採取した卵は室内で飼育するようにしましょう。室内でも寄生されるリスクはゼロではありませんが、屋外にいるよりは寄生されるリスクを下げることができます。
目の細かい網をかける
産卵直後の卵に細かい目の網をかけてしまうのも有効な対策です。蝶の卵や幼虫に寄生するハチやハエは小さいので、可能な限り細かい目の網をかけるようにしましょう。
まとめ
この記事では、実際に寄生されてしまったアゲハチョウやモンシロチョウの卵や幼虫、蛹を紹介しました。
蝶の卵や幼虫は、ハエやハチなどに頻繁に寄生され、無事に羽化する確率は1~2%と言われています。蝶の飼育を考えている人は、寄生虫対策が必須です。
寄生虫対策としては、次の3つがあります。
- 産卵直後の卵を採取する。
- 室内で飼育する。
- 目の細かい網をかける。
寄生された時は以下の症状が現れます。
- 卵が真っ黒になり孵化しない。
- 蝶の幼虫から、小さい幼虫が突然出てくる。
- 蛹が途中で変色し、黒い点がある。
こういった症状が出てきた場合は、寄生虫を疑うのが良いでしょう。
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