日本の国蝶は”オオムラサキ”という蝶です。オオムラサキは主に雑木林などに生息しているため、普段の生活ではなかなか馴染みのない蝶だと思います。オオムラサキの見た目は下の写真の通りです。その名の通り、大型で紫色をしています。
この記事では、主に以下2点について解説をします。
- 日本の国蝶はオオムラサキと聞いたことがあるけど、それは誰が決めているの?
- 国蝶がオオムラサキである理由を知りたい。
丁寧にわかりやすく解説をしていきますので、是非最後までご覧いただけれますと幸いです。
国蝶は誰が決めているのか(結論:日本昆虫学会)
「国蝶」というと行政(日本国政府)が決めているように感じると思います。例えば、沖縄県の県蝶であるオオゴマダラは沖縄県が決めていますし、埼玉県では県がミドリシジミを県の蝶に指定しています。また、国鳥のキジは文部省(現在の文部科学省)が日本鳥学会に依頼して決めています。
一方で、国蝶のオオムラサキは行政が決めたものではありません。昭和32年(1957年)に日本昆虫学会という学会が決めており、行政で決めたものではありません。
国蝶がオオムラサキである理由
次に国蝶がオオムラサキである理由を解説していきます。
国蝶を決める活動が始まるきっかけ
国蝶を決めようという活動は、昭和8年に開かれた蝶類同好会での提案から始まりました。これは、国蝶を国民全体に知らせて承認を求めたりする活動ではなく、純粋に蝶愛好家の趣味として始められた活動でした。
国蝶選定の経緯
国蝶を選ぶにあたり、オオムラサキは最初から最有力候補でした。その理由は以下4点です。
- 美しい蝶であり、どこに出しても恥ずかしくない。
- 北海道から九州まで生息しており、当時勢力下であった満州や朝鮮、台湾にも生息している。
- 蝶の学名(sasakia)が日本人の名に因む 。
- オオムラサキが外国でも日本の蝶の代表となっている資料が存在すること。
一方で、アゲハチョウを候補とする声も当時はありました。その理由は次の3点です。
- 当時の日本の領土に広く分布して個体数も多いこと。
- 名前や生態が広く知れ渡っていて、教科書にも掲載されていること。
- 見た目が大型で優美で、日本的な感じを与える種であること。
その他にも、ミカドアゲハやギフチョウなども候補として議論がされましたが、最終的にはオオムラサキが国蝶に選定されました。
アゲハチョウとオオムラサキの一騎打ちという状況の中、アゲハチョウが選ばれなかった理由は次の通りです。
- 柑橘類の害虫として国蝶を駆除しなければいけない(アゲハチョウの幼虫は柑橘類の葉を食べて成長します)。
- 余りにも普通種過ぎるため、国蝶としてはふさわしくない。
最終的には、会員全体での記名投票が行われ、オオムラサキが過半数をとったため、国蝶としてオオムラサキが決定しました。
オオムラサキの紹介
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 7月から8月頃 |
越冬の状態 | 幼虫で越冬 |
食草 | エノキ |
亜種 | なし |
その名が示す通り、オオムラサキの♂は翅の表が紫色に輝きます。大型のチョウであり、かつ胴体が非常に太いため、飛ぶ姿は力強く、インパクトの非常に大きな蝶です。
かつては東京都内の雑木林で見られた蝶ですが、現在は東京をはじめ都市部では個体数が減少あるいは絶滅しており、普段はなかなか見る機会がありません。
山梨県は昔からオオムラサキが多く生息する地で有名です。特に山梨県の北杜市や韮崎市は有名な場所で、北杜市にはオオムラサキセンターという大きな飼育・観光施設があり、その生態を学ぶことがで
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