【モンシロチョウに似た蝶】ツマキチョウとスジグロシロチョウとの見分け方

蝶の見分け方
こんにちは!Nao(Xアカウント:@fujimidori123)です!

このブログでは、よく似た蝶の見分け方を紹介しています。見た目がよく似ている蝶は、初心者の方には(時には上級者でも)見分けるのが難しいです。

例えば、アゲハチョウとキアゲハの見分け方、モンシロチョウとスジグロシロチョウ、モンキチョウの見分け方などは、最初に悩むところだと思います。

また、中級者や上級者になってきても、ゼフィルスの見分け方やサカハチチョウとアカマダラの見分け方、さらにはスジグロシロチョウとヤマトスジグロシロチョウとエゾスジグロシロチョウの見分け方などは簡単ではありません(※ヤマトスジグロシロチョウに関しては、もはや見た目では判別不能です)。

この「よく似た蝶の見分け方」のシリーズでは、こういった蝶をどの様に見分けるのかについて紹介をしていきたいと思います。

その中でも、この記事ではモンシロチョウとツマキチョウとスジグロシロチョウの見分け方について紹介をします。

モンシロチョウとツマキチョウとスジグロシロチョウの違い・見分け方

それでは、モンシロチョウとツマキチョウとスジグロシロチョウの違いについて解説をしていきます。それぞれの違いは下の画像の通りです。

ツマキチョウは翅の先端が尖るのに対して、モンシロチョウは翅の先端が丸くて尖らないのが特徴です。また、スジグロシロチョウは翅に黒い筋がありますが、モンシロチョウは黒い筋はありません。違いをまとめると以下の通りとなります。

種類翅の先端の形状翅の黒い筋
モンシロチョウ尖らない黒い筋は無い
ツマキチョウ尖る黒い筋は無い
スジグロシロチョウ尖らない黒い筋がある

モンシロチョウの紹介

モンシロチョウの成虫の写真

2018年7月8日に栃木県宇都宮市で観察したモンシロチョウ
2018年5月12日に茨城県下妻市で観察したモンシロチョウ
2019年5月5日に茨城県土浦市で観察したモンシロチョウ

モンシロチョウは、元々は日本に生息していなかった移入昆虫であると言われていますが、現在では北海道から沖縄までの全国で普通に見られる蝶です。元々は沖縄には生息していませんでしたが、1950年代頃から見られるようになり、現在は沖縄でも普通に見ることができます。

幼虫はキャベツなどのアブラナ科の植物を食草とするため、キャベツ畑でよく見ることができます。

よく似た種として、スジグロシロチョウやオオモンシロチョウがいます。スジグロシロチョウはどちらかというと林の中などの暗い環境や山地に生息することが多いのに対して、モンシロチョウは日がよく当たる平地などに生息しています。また、オオモンシロチョウは北海道や青森県、岩手県のみに生息する蝶です。また、モンキチョウの♀と見間違う方もいるかもしれません。

  • 食草:キャベツなどのアブラナ科の植物
  • 分布:北海道から沖縄までの日本全国
  • 成虫が見られる時期:3月頃から10月頃まで
  • 生息環境:農地や民家、河川敷などに広く分布

日本蝶類図説(1904年の図鑑)に掲載されているモンシロチョウ

1904年に出版された日本蝶類図説(宮島幹之助)という図鑑があります。ここに記載されているモンシロチョウを紹介します。

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

全翅白く前翅の前角は黒し。後翅前縁に微黒斑あり。裏面に於て前翅の前角淡黄色にして、中央に明なる二黒點あり。後翅は一般に黄色の粉鱗が多く且つ灰白色粉鱗を混ず。殊に翅の中央を貫く一黄色條は明瞭なり。雌には前翅表面の中央に二黒點ありて頗る明なれど、雄にては極めて淡く時として全く之を缺くを以て相異る。田野に最普通にして期節により其形状色彩に小差異あり。

●期節 三月ー十月

●産地 北海道、本島、四国、九州

●仔虫 淡緑色にして細毛あり。背と側面に黄色細條あり。だいこん、はぼたん等栽培十字科植物を食す。蛹は灰色にして黒點を有す。

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

ツマキチョウの紹介

ツマキチョウの成虫の写真

東京都文京区で撮影したツマキチョウ♂
東京都千代田区で撮影したツマキチョウ♀

ツマキチョウの見た目の特徴としては、翅の先端が尖っていることと、雄は翅の先端が黄色であることが挙げられます。一方で、雌のツマキチョウは翅の先端の黄色がありません。飛び方も緩やかで、滑空するように飛ぶ特徴があります。花の蜜を吸うのが好きで、頻繁に花を訪れて蜜を吸っています。

ツマキチョウの生態

ツマキチョウは春先の4月頃にのみ現れる蝶で、1年のうち、ほとんどの時期を蛹で過ごします。4月頃に成虫として現れ、卵を産み、5月頃に幼虫となり、6月~3月頃までを蛹で過ごし、4月頃にまた成虫となって飛び回ります。

分布は北海道、本州、四国、九州で、都心部などでも普通に観察することができます。

幼虫の食草は、タネツケバナやイヌガラシ、セイヨウカラシなどのアブラナ科の植物です。

モンシロチョウに似ているため、慣れていないと見間違えることがありますが、モンシロチョウと比べて飛び方が弱々しいのが特徴です。

日本蝶類図説(1904年の図鑑)に掲載されているツマキチョウ

1904年に出版された日本蝶類図説(宮島幹之助)に記載されているツマキチョウを紹介します。

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

小形にして優しき種なり。雄前翅前角は橙黄色にして、其周囲は緑色を呈す。翅の基部に灰色の粉鱗あり。中室の先端に濃黒色の紋あり。後翅表面には特徴なけれど、裏面は基部より中央部に不規則なる草色の雲状斑あり邊縁部一帯は藁色を呈す。雌は雄よりも大きく前翅前角に橙黄色の色彩なし。

●期節 四月(本島)六月(北海道)

●産地 北海道、本島、四国、九州

●仔虫 緑色にして自條あり。たねつけばな、こんろんさう等を食す。蛹は両端尖り、少しく弯曲す。

宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.

ツマキチョウの卵と幼虫

東京都千代田区でツマキチョウが産卵している姿を目撃し、その卵を自宅に持ち帰り飼育しました。蛹になる前に脱走して行方不明になったため、蛹の姿を見ることはできませんでしたが、終齢幼虫までは観察することができました。ここでは、その時の実際の飼育記録を紹介します。

2017年5月3日に東京都千代田区で観察したツマキチョウの産卵

東京都千代田区の公園で、ツマキチョウが産卵している姿を目撃しました。無事に卵を採取することができたので、自宅で飼育することにしました。

2017年5月4日のツマキチョウの卵

産卵から1日後のツマキチョウの卵です。卵の形は楕円形で、綺麗な白色をしています。卵の大きさは2mm程度です。

2017年5月7日のツマキチョウの卵

産卵から4日後のツマキチョウの卵です。写真をみてわかる通り、卵が橙色になってきました。

2017年5月8日のツマキチョウの卵

産卵から5日後のツマキチョウの卵です。卵の先端が黒味を帯びてきました。孵化までもう少しであることがわかります。

2017年5月9日のツマキチョウの1齢幼虫

孵化直後の1齢幼虫です。産卵から6日後に孵化しました。

2017年5月14日のツマキチョウの2齢幼虫

一度脱皮をして2齢幼虫になりました。大きさは6mm程度です。順調に大きくなってきました。

2017年5月16日のツマキチョウの3齢幼虫

2回目の脱皮をして3齢幼虫になりました。この頃には大きさが18mm程度となり、かなり大きくなった印象です。

2017年5月20日のツマキチョウの4齢幼虫

3度目の脱皮をして4齢幼虫になりました。

2017年5月22日のツマキチョウの5齢(終齢)幼虫

4度目の脱皮をして5齢(終齢)幼虫になりました。このころになると、体長は2㎝程度となりました。食欲も旺盛で、食草の確保が大変になるほどでした。そして、残念ながら、この日を最後にツマキチョウの幼虫は姿を消してしまいました。蛹になるために場所を離れた可能性もありますし、ベランダで飼育していたため鳥に捕食された可能性もあります。ケースに入れて飼育しておけばよかったと思いました。

スジグロシロチョウの紹介

スジグロシロチョウの成虫の写真

2016年5月7日に長野県白馬村で観察したスジグロシロチョウ
2017年6月17日に埼玉県さいたま市で観察したスジグロシロチョウ

スジグロシロチョウの紹介

スジグロシロチョウは都心部の公園などでも比較的よく見ることができる普通種です。日本全国広く分布しており、モンシロチョウと生息域も重なりますが、モンシロチョウと比べてスジグロシロチョウの方が暗い場所を好む傾向があります。山地でも見かけることがあります。

幼虫の食草はタネツケバナやヤマハタザオなどのアブラナ科の植物です。

日本蝶類図説(1904年の図鑑)に掲載されているスジグロシロチョウ

1904年に出版された日本蝶類図説(宮島幹之助)に記載されているスジグロシロチョウを紹介します。

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