この記事では、日本で最も有名な蝶の1種であるモンシロチョウの幼虫の実際の飼育記録を基に、幼虫のエサや育て方について解説をしていきます。
モンシロチョウの紹介
モンシロチョウは、元々は日本に生息していなかった移入昆虫であると言われていますが、現在では北海道から沖縄までの全国で普通に見られる蝶です。元々は沖縄には生息していませんでしたが、1950年代頃から見られるようになり、現在は沖縄でも普通に見ることができます。
幼虫はキャベツなどのアブラナ科の植物を食草とするため、キャベツ畑でよく見ることができます。
よく似た種として、スジグロシロチョウやオオモンシロチョウがいます。スジグロシロチョウはどちらかというと林の中などの暗い環境や山地に生息することが多いのに対して、モンシロチョウは日がよく当たる平地などに生息しています。また、オオモンシロチョウは北海道や青森県、岩手県のみに生息する蝶です。また、モンキチョウの♀と見間違う方もいるかもしれません。
- 食草:キャベツなどのアブラナ科の植物
- 分布:北海道から沖縄までの日本全国
- 成虫が見られる時期:3月頃から10月頃まで
- 生息環境:農地や民家、河川敷などに広く分布
日本蝶類図説(1904年の図鑑)に掲載されているモンシロチョウ
1904年に出版された日本蝶類図説(宮島幹之助)という図鑑があります。ここに記載されているモンシロチョウを紹介します。
全翅白く前翅の前角は黒し。後翅前縁に微黒斑あり。裏面に於て前翅の前角淡黄色にして、中央に明なる二黒點あり。後翅は一般に黄色の粉鱗が多く且つ灰白色粉鱗を混ず。殊に翅の中央を貫く一黄色條は明瞭なり。雌には前翅表面の中央に二黒點ありて頗る明なれど、雄にては極めて淡く時として全く之を缺くを以て相異る。田野に最普通にして期節により其形状色彩に小差異あり。
●期節 三月ー十月
●産地 北海道、本島、四国、九州
●仔虫 淡緑色にして細毛あり。背と側面に黄色細條あり。だいこん、はぼたん等栽培十字科植物を食す。蛹は灰色にして黒點を有す。
宮島幹之助(1904)『日本蝶類図説』.
モンシロチョウの幼虫のエサ
モンシロチョウはよくキャベツ畑にいるよね?
そんな印象を持っている人も多いと思います。モンシロチョウの幼虫は、キャベツなどのアブラナ科の植物の葉を食べて成長します。キャベツ農家にとっては、モンシロチョウの幼虫は大切なキャベツを食べてしまう害虫として扱われます。
もし自宅にモンシロチョウの幼虫を呼びたければ、自宅の庭にキャベツを育てておけばOKです!
我が家では、モンシロチョウの幼虫を呼ぶため、自宅にキャベツを植えています。
キャベツは、スーパーなどで種が売られていますので、それを購入して、自宅の庭に蒔いておけば大丈夫です。自然と目が出て、大きく成長していきます。そして、モンシロチョウがそれを見つけて卵を産みに来ます。
スーパーでキャベツを購入して、それを幼虫に与えても良いの?
スーパーで購入したキャベツを与えるのは避けた方が良いでしょう。それは、スーパーのキャベツには農薬が入っていることが多く、幼虫が死んでしまうことがあるためです。スーパーで購入したキャベツを与えるのではなく、種から自分で育てたものを与えるようにしましょう。
【実体験】モンシロチョウの幼虫の飼い方・育て方
【事例①】自宅のバタフライガーデンで卵を採取し飼育(寄生されました)
卵から孵化まで
自宅で育てているキャベツにモンシロチョウが卵を産みにきました。これから、成虫になるまで育てていこうと思います。産卵直後の卵は綺麗な白色をしています。大きさは1mm程度で、楕円形をしています。
孵化が近づいてくると、段々と黄色味を帯びてきます。孵化までもう少しです。
孵化から幼虫まで
6月21日についにモンシロチョウの幼虫が卵から孵化しました。孵化直後は数mm程度の非常に小さい幼虫で、肉眼で確認することが困難な程です。
6月23日には孵化直後と比べると大きくなりました。ですが、まだ数mm程度の小さい幼虫です。
6月25日には5mm程度の幼虫となりました。
7mm程度の大きさとなったモンシロチョウの幼虫です。キャベツを食べる量も少しづつ増えてきました。
孵化から7日後のモンシロチョウの幼虫です。すくすくと着実に成長しています。
孵化から1週間が経過しました。孵化直後は数mmだった幼虫が、この頃には12mmまで成長しました。たった1週間で何倍もの大きさになりました。
大きさは15mm程度となりました。1日で3mm程度成長しています。食べる量も多くなり、糞も目立つようになってきました。
孵化から9日目です。大きさはなんと25mm程度となりました。この1日で急激に大きくなりました。キャベツを食べる量も格段に増えました。
孵化から10日が経過しました。大きさは30mm程度となりました。蛹になるまでもう少しです。
そろそろ蛹になると楽しみにしていましたが、残念ながらこの幼虫はハチに寄生されていました。この写真の様に、ハチの繭ができてしまいました。元気な蛹の姿を見ることはできませんでした。この様に、蝶の幼虫は頻繁に寄生されます。蝶の幼虫を飼育する時は、寄生されている可能性があることも知っておくと良いでしょう。
【事例②】自宅のバタフライガーデンで卵を採取し飼育
卵から孵化まで
7月23日、自宅で育てているキャベツの裏にモンシロチョウが卵を産みました。2つ採卵して室内で育てることにしました。産卵直後は白色の卵ですが、1日経つと黄色になります。
孵化から幼虫まで
産卵から3日後に卵が孵化して1齢幼虫となりました。まだ数mm程度の非常に小さな幼虫で、すぐに見失ってしまいます。頑張ってエサのキャベツを食べています。
孵化してから3日経つとかなり大きくなり、立派な青虫になります。食べる量も増えてきます。
孵化から6日が経過しました。2頭とも順調に成長しています。食草であるキャベツが萎れてきたので、この日にキャベツの交換を行いました。
幼虫はみるみる大きくなり、キャベツを食べる量も増えてきました。まもなく蛹になります。
蛹から羽化して成虫になるまで
孵化から10日で蛹になる準備が始まりました。この状態を前蛹(ぜんよう)といいます。
モンシロチョウの蛹です。蛹になった直後は綺麗な黄緑色をしています。
蛹になって数日経つと、徐々に変色します。羽化が近づいています。
羽化直前のモンシロチョウの蛹です。モンシロチョウの翅の模様が透けて見えます。まもなく羽化して成虫になります。
羽化して成虫になったモンシロチョウです。蛹から出てから翅を乾かし、乾ききったら飛んでいきます。
卵が孵化してから蛹になるまでの期間
これまでの飼育事例から、モンシロチョウの卵が孵化してから蛹になるまでの期間をまとめました。
産卵から孵化まで | 孵化から蛹まで | 蛹から成虫まで | |
事例① | 3日間 | 12日間経過後に寄生虫が出てきた | ー |
事例②1頭目 | 3日間 | 10日間 | 7日間 |
事例②2頭目 | 3日間 | 10日間 | 7日間 |
寄生されてしまった事例①は参考になりませんが、事例②では孵化から蛹までは10日間、蛹から成虫までは7日間で、産卵から成虫になるまでは20日間という結果となりました。
まとめ
この記事では、日本で最も有名な蝶の1種であるモンシロチョウの幼虫の実際の飼育記録を基に、幼虫のエサや育て方について解説をしました。
事例①は、残念ながら飼育した個体は寄生されていて、成虫になることはできませんでしたが、寄生されていなければ蛹から成虫になっていました。
モンシロチョウの幼虫の育て方・飼い方をまとめます。
- 虫かごを用意する。
- 卵や幼虫を捕まえてくる。
- 虫かごにモンシロチョウのエサとなるキャベツなどを入れる
- 幼虫のエサはこまめに交換する。
- 虫かごの中は、糞を掃除するなど、清潔を保つ。
- 室内で飼育すれば、ハチなどに寄生される確率を減らすことができる
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