奥日光や那須高原は都心から比較的近い場所でありながら、珍しい蝶が多く生息しています。特に、ゼフィルスと呼ばれるシジミチョウの一群が多く生息しています。私は2015年から継続して奥日光や那須高原の蝶を観察してきました。
この記事では、栃木県日光市と那須塩原市で観察したゼフィルスなどの貴重な蝶を紹介します。
2021年7月24日に奥日光で観察したゼフィルス
2021年7月22日から24日にかけて、連休を利用して2泊3日で磐梯山周辺(福島県)と日光(栃木県)に行きました。目的は、この時期に発生するゼフィルス(樹上性のシジミチョウの仲間の一群のこと)を観察することです。ゼフィルスは6月下旬頃から7月頃に発生する種が多く、磐梯山や日光はゼフィルスが多産することで有名な場所です。
2021年7月22日から23日にかけての磐梯山周辺でのゼフィルスの観察を終えた後、24日には栃木県日光市に場所を移してゼフィルスの観察を行いました。結果としてこの日は、栃木県日光市でアイノミドリシジミとメスアカミドリシジミの2種類のゼフィルスを観察することができました。
アイノミドリシジミ
アイノミドリシジミは、上の写真の場所に生息しています。これまでの観察では①の環境にアイノミドリシジミが生息していて、②の環境にはメスアカミドリシジミが生息していましたが、この日は②の環境で初めてアイノミドリシジミの生息を確認しました。
①の場所は、非常に多くのアイノミドリシジミが生息していますが、高い場所でテリトリーを張るため、写真の撮影は極めて困難です。この日も①の場所に多くのアイノミドリシジミが飛翔していましたが、良い写真を残すことはできませんでした。
一方で、②の環境で観察したアイノミドリシジミは、幸運にもすぐ近くの葉でテリトリーを張っていたため、満足できる写真を残すことができました。その時の写真を以下に掲載します。
アイノミドリシジミは高い場所でテリトリーを張る傾向があるため、良い写真を残すことができないことが多々あります。ですがこの日は幸運にも、目の前の木でテリトリーを張ってくれたため、エメラルドグリーンに輝く非常に綺麗な翅の表面を観察・撮影することができました。
時期的に少し遅いかなと思っていましたが、とても綺麗な個体に出会うことができました。奥鬼怒ではこの時期でもまだまだ新鮮な個体に出会うことができます。アイノミドリシジミは午前中にテリトリーを張る習性があり、この日も朝8時頃からテリトリーを張り始めました。
メスアカミドリシジミ
メスアカミドリシジミも奥鬼怒では毎回観察できる蝶です。奥鬼怒のこの場所では、アイノミドリシジミとほとんど同じ場所でテリトリーを張り、また活動時間もどちらも午前中であるため、よく見ないとそれがアイノミドリシジミなのかメスアカミドリシジミなのかの判定ができません。
この日は近くでテリトリーを張ってくれなかったため、少し遠いアングルでの写真となってしまいましたが、メスアカミドリシジミと判定できる特徴は綺麗に写りました。ですが、エメラルドグリーンに輝く翅の表側は残念ながら撮影することができませんでした。
2018年8月18日に奥日光で観察したタテハチョウ科の蝶
この日に観察したタテハチョウ科を紹介します。
2018年7月14日に奥日光で観察したゼフィルス他
アイノミドリシジミ
到着したのは8時前で、すでに多数のアイノミドリシジミがテリトリーを張っていました。午前10時頃まで♂のテリトリーを張る行動が続いていましたが、高いところでテリトリーを張りますし、逆光もあり、なかなか良い写真を撮ることができませんでした。かろうじて撮影できた写真を紹介します。
メスアカミドリシジミ
この場所では午前10時頃まではアイノミドリシジミがテリトリーを張っていました。それまではメスアカミドリシジミは給水をしたりと、活発に行動はしていませんでしたが、10時を過ぎたころから、メスアカミドリシジミがテリトリーを張り始めました。アイノミドリシジミよりもやや低い場所でテリトリーを張っていました。
フジミドリシジミ
この日は幸運に恵まれ、フジミドリシジミの♂と♀両方を観察することができました。この場所は何度も来ていますが、フジミドリシジミを見たのは初めてです。
アカシジミ
アカシジミはこの場所で多く見られる蝶の1種です。この日も見ることができました。
カラスシジミ
日光市では初めて、カラスシジミを観察することができました。翅が破れていますが、初観察ということで非常に嬉しかったです。それほど珍しい蝶ではありませんが、どこにでもいる蝶ではありませんので、見つけると嬉しくなります。
2018年6月30日に那須高原で観察したゼフィルス他
ゼフィルス生息地の新境地の開拓を目的として、栃木県那須塩原市に行ってみました。
ゼフィルスの観察としては、これまで栃木県日光市や福島県の磐梯山周辺を主なフィールドとしてきましたが、他にも多くのゼフィルスを観察できる場所を見つけたいと考え、何も事前情報がないまま那須塩原市に行くことにしました。
結局この場所で観察できたゼフィルスは、ウスイロオナガシジミ1種類だけでした。ウスイロオナガシジミはこれまであまり観察できていなかった種ですので、この蝶に出会えただけでも行った価値はありました。
ウスイロオナガシジミ
まずは何といってもウスイロオナガシジミです。山地性ゼフィルスの1種で、この日見たいと思っていた蝶の1種です。この日観察できたのは非常に新鮮な個体で、羽化直後の個体ではないかと感じました。これ程綺麗なウスイロオナガシジミを観察したのはこれまでで初めてでした。
コムラサキ
コムラサキも綺麗な個体を見ることができました。この写真では分かり難いかもしれませんが、♂の個体で、見る角度によっては非常に綺麗な紫色をしていました。珍しい蝶ではないのですが、やはりこの翅の模様は目を引きます。
ヒオドシチョウ
同じくヒオドシチョウも新鮮な個体を観察できました。綺麗なオレンジとクロの模様の外縁が青色になっているのが特徴的な蝶です。
ミスジチョウ
最後にミスジチョウです。ミスジチョウは日光市でゼフィルスを観察した時にも比較的多くの個体を観察することができました。この辺りでは多くのミスジチョウが生息しているものと思われます。コミスジと比べると大きく、オオミスジと比べると小さいため、慣れてくると飛んでいるだけでその大きさで容易に見分けることができるようになります。
2015年8月1日に奥日光&日光で観察したゼフィルス
アイノミドリシジミ
アイノミドリシジミは午前中に積極的に活動する蝶で、この日も午前中に非常に多くのアイノミドリシジミが飛翔していました。ですが、高いところを飛ぶためなかなか撮影機会に恵まれません、、、
この日は、幸運にも地上に降りてきたアイノミドリシジミを撮影することができました。かなりボロボロの個体で、翅も中途半端にしか開いてくれませんでした。
ジョウザンミドリシジミ
ジョウザンミドリシジミも午前中に活動するゼフィルスです。この日は1頭だけでしたが観察することができました。ジョウザンミドリシジミは、生息する場所には非常に多くの個体が生息しているイメージですが、まだこの場所ではこの1頭だけしか見たことがありません。もう少し場所を変えると、多くのジョウザンミドリシジミが生息する場所があるのかもしれません。
ウラキンシジミ
ウラキンシジミが観察できるとは思っていませんでした。アイノミドリシジミやジョウザンミドリシジミを観察し終え、帰る途中でひらひらと飛んできたのがウラキンシジミでした。ウラキンシジミは初めて見る蝶であったため、最初は何の蝶かわかりませんでしたが、幸運にも目の前に止まり、ウラキンシジミと認識することができました。
オナガシジミ
日光市のクルミが植えられている場所で多くのオナガシジミが生息しています。オナガシジミはなかなか見ることができない蝶ですが、この場所にはそれなりの数のオナガシジミが生息しています。
2015年6月13日&20日に戦場ヶ原で観察したフタスジチョウなど
奥日光にある戦場ヶ原は観光地として有名な場所です。この場所にどのような蝶が生息しているのか、観光も兼ねて2015年6月13日と20日に行ってきましたので、その結果を紹介します。
戦場ヶ原の環境
戦場ヶ原は日光国立公園の中にある高層湿地で、環境は以下の写真のような感じです。
私が2015年6月13日と20日に行った時には、それほど蝶の数はおおくないものの、平地では見ることができないフタスジチョウを見ることができました。その他、特段珍しい蝶がいたわけではありませんが、以下では戦場ヶ原で観察できた蝶を紹介します。
フタスジチョウ
まずはフタスジチョウです。私はこれまでに、フタスジチョウは湯の丸高原地蔵峠でした見たことがありませんでした。特段珍しい蝶というわけではないのですが、一方でどこでも見られる蝶ではありません。
日本最古の図鑑とされる1904年『日本蝶類図説』(宮島幹之助)では、本種について「普通にして産地により其形状に大小あり」と記載されていることから、昔は普通種だったと考えられますが、現在は普通種というには生息地が局地的すぎるため、全国的に数を減らしている蝶だと考えられます。
ギンイチモンジセセリ
ギンイチモンジセセリは、環境省レッドリスト2020で準絶滅危惧(NT)に分類されている珍しい蝶です。戦場ヶ原で観察することができました。
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