みなさんこんにちは。私は1984年に東海大学出版会から出版された「フィールド図鑑チョウ」という図鑑を持っています。
この図鑑は昔からよく使っている図鑑ですが、蝶の紹介文の中に、個人的に他の図鑑ではなかなかみられない面白いと思う記載がありますのでいくつか紹介をしてみます。
♀は紫色の部分がなくやたら〇〇
「♀は紫色の部分がなくやたら〇〇」の〇〇に入る言葉、みなさん何だか分かりますか?正解は次の通りです。
♀は紫色の部分がなくやたら大きいだけである。
オオムラサキのメスに何か恨みでもあるんですか!?!?と思ってしまいました。確かにオオムラサキはオスは美しい紫色をしているのに対して、メスは紫色がありません。下の写真がオオムラサキのメスです。
「やたら大きいだけ」というと、大きいこと以外に取柄はない、、、と伝わります。オオムラサキのメスは確かに紫色はありませんが、これはこれで結構美しいし迫力がありますし、個人的には魅力的な蝶だと思うのですが、、、
皆さんはどうお感じでしょうか?
夏型は巨大であるが〇〇
続いてミヤマカラスアゲハです。「夏型は巨大であるが〇〇」の〇〇に入る言葉、なんだか分かりますでしょうか。先ほどのオオムラサキの例があるので、何となく想像はできるかなと思います。正解は次の通りです。
夏型は巨大であるが、黄緑色の帯はきわめて細くなって、あまり美しくない。
日本で最も美しい部類に入るミヤマカラスアゲハに対して、「美しくない」という表現を使う図鑑は初めて見ました!夏型に比べて春型の方が黄緑の輝きが強いのは事実で、「春型の方が美しい」という表現はよく見ますが、「美しくない」はかなり攻めた表現だと思いました。
上の写真で左が夏型のミヤマカラスアゲハですが、個人的には夏型もとても美しい蝶なので、「あまり美しくない」という表現は面白いと感じました。
胸部を軽く押したくらいでは〇〇
「胸部を軽く押したくらいでは〇〇」の〇〇に入る言葉、これは正解が分かる人も多いかもしれません。正解は次の通りです。
胸部を軽く押したぐらいでは死なない。
標本をやっていない人にとっては、「その記載は必要ですか!?」と声を大にして言いたくなると思います。標本を作る人であれば何のことかわかると思います。
蝶を捕虫網で捕まえたあと、標本にする場合は胸部を押して気絶させ、三角紙という紙に蝶を閉じて持ち帰ります。アサギマダラは軽く押したぐらいでは死なないので、強く押さないとだめですよということを言いたいのだと思いますが、今の時代であれば蝶の標本を作製することを前提とした図鑑はなかなか無いので、今の人が見れば違和感を感じるのではないかと思いました。
名前とは〇〇
ウラキンシジミに対しては「名前とは〇〇」という記載がありますが、〇〇に何が入るか分かりますでしょうか。正解は以下の通りです。
西日本の♂は裏面が焦げ茶色で、名前とはほど遠い。
これも面白いですがなかなか失礼な記載です!「西日本の♂は裏面が焦げ茶色となる」で終わらせておけば良いと思うのですが、あえて「名前とはほど遠い」と記載することで言いすぎ感が出てしまいますよね。
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