蝶好きであればおそらく一度は耳にしたことがある「ゼフィルス」という言葉。シジミチョウ科に属する一群で、メタリックに輝く美しい種が多くいるため、蝶好きには人気があります。自分もゼフィルスは昔から好きで、ゼフィルスが発生する時期になると良く生息地に行っています。
本記事では、そのゼフィルスの紹介をしたいと思います。
ゼフィルスの概要
ゼフィルスの分類
分類学のレベルが低かった時代に、樹上性のシジミチョウの仲間を総括して Zephyrus と呼んでいたのが始まりで、語源はギリシャ神話の西風の神ゼピュロスです。
このゼフィルスに属するシジミチョウの雄は、木の枝の先端などで縄張りを張り、同種のチョウの雄が進入して来ると追いかけて縄張りから排除する習性を持つ種が多いのが特徴です。それらの種は、雄同士が回転しながら絡み合うような飛翔を行う(これを「卍巴飛翔」という)。一般に翅が縦に長く、森林性が強いという特徴があります。ほとんどの種がブナ科植物を食べ、卵で越冬します。
日本には25種類のゼフィルスが生息し、成虫は6月から9月の間に発生(年一化)します。主に平地に生息する種と山地に生息する種がおり、前者は平地性ゼフィルス、後者は山地性ゼフィルスと呼ばれることがあります。
平地性ゼフィルスは、アカシジミ、ウラゴマダラシジミ、ウラナミアカシジミ、オオミドリシジミ、ミドリシジミ、ミズイロオナガシジミの6種類であり、これらは街中の公園等において生息していることがあります。
ゼフィルスの中でも、進化の度合いが異なることが指摘されています。以下の図は、白水氏と山本氏によって1956年に作成したミドリシジミ類各属の系統関係推定模式図です。
ゼフィルスの翅が青緑色に輝く理由は?
ミドリシジミ類の翅が金属光沢の輝きを持つ理由は、「多層膜干渉」にあります。
「多層膜干渉」は、透明な薄い膜が何層にも重なり合うことで、それを光が透過する時にそれぞれの界面で反射して、その反射光が互いに干渉することによって特定の波長の光だけが強調されることです。ゼフィルスの翅は「多層膜干渉」により金属光沢の美しい色に見えます。
ゼフィルス全25種類
日本に生息するゼフィルス全25種類を紹介します。
平地性ゼフィルス(6種類)
平地性ゼフィルスは、平地でも観察することができるゼフィルスで、ミドリシジミ、オオミドリシジミ、アカシジミ、ウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミの6種類が生息しています。これらの蝶は、都心近郊でも観察することができます。
ミドリシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | ハンノキなど |
亜種 | なし |
ミドリシジミはゼフィルスと呼ばれるミドリシジミ類の蝶の一群に属します。市街地でも観察する機会があり、翅の美しさから人気がある蝶です。関東地方でも、東京都の石神井公園や埼玉県の秋ヶ瀬公園、横浜市の舞岡公園などでミドリシジミが観察できます。オスの翅の表面はエメラルドグリーンに輝く美しい色をしていますが、近縁種のメスアカミドリシジミやアイノミドリシジミと比較すると輝きは鈍いです。
成虫は年に1回発生し、6月から7月頃に見られます。幼虫はハンノキなどの葉を食べるため、ハンノキなどが生えている森林や公園などで観察できます。オスは夕方の16時から19時頃に活発に活動し、食樹のまわりを飛び回ります。メスはオスに比べて不活発で、積極的に飛び回ることはあまりありません。
分布は北海道から九州にまで広いのですが、南方に行くほど生息地は限定されます。
オオミドリシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | コナラ、ミズナラなど |
亜種 | なし |
オオミドリシジミは、平地にも生息するゼフィルスの1種です。東京近郊にも生息しており、埼玉県の狭山丘陵などで見られます。成虫年1回の発生で、6月頃から成虫を観察できます。オスの活動時間帯は午前中で、9時から10時頃がピークとなります。メスはあまり活動しません。
アカシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 5月下旬から7月頃まで |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | コナラ、ミズナラなどのブナ科の植物 |
亜種 | なし |
年1回の発生で成虫は5月下旬頃から7月頃まで見られます。アカシジミは平地でも見られ、都心近郊の公園でも見られることがあります。活動時間は夕暮れ時で、栗の花に蜜を吸いにくるアカシジミが良く見られます。
ウラナミアカシジミ
分布 | 北海道、本州、四国 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃まで |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | クヌギ、アベマキなどのブナ科の植物 |
亜種 | 名義タイプ亜種、紀伊半島南部亜種 |
ウラナミアカシジミは平地性ゼフィルスの1種で、都心部の公園でも見られることがあります。翅には独特の黒い線も模様があり、近縁種のアカシジミと見た目が大きく異なるため、種の同定は容易です。成虫は、近縁種のアカシジミと比べて少し遅く羽化が始まり、6月頃に羽化して7月頃まで見られます。活動時間は主に夕方で、日没頃まで活発に活動します。日中は栗の花に吸蜜にくる姿がよく見られます。
ミズイロオナガシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 5月下旬から7月頃まで |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | クヌギ、ミズナラなど |
亜種 | なし |
ミズイロオナガシジミは、平地性ゼフィルスの1種です。ゼフィルスは主に山地に生息しますが、ミズイロオナガシジミは平地にも生息し、都会の公園でも見られることがあります。成虫は年1回の発生で、早ければ5月下旬頃から見られます。
ウラゴマダラシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 5月下旬から7月頃まで |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | イボタノキなど |
亜種 | なし |
ウラゴマダラシジミは平地性ゼフィルスの1種で、都市部の公園にも生息していることがあります。成虫は年1回の発生で、5月下旬頃から見られます。ミドリシジミ亜族として訪花性が強く、蜜を吸う姿が良く見られます。
北海道の個体は小型となる傾向があり、四国の個体は黒化するなど、地域的な違いがあるため亜種名がつけられることもあります。
山地性ゼフィルス(19種類)
山地性ゼフィルスは、平地ではなく山地に生息するゼフィルスで、日本には19種類が生息しています。都会では見る機会の少ない蝶ですが、山地で出会うことができます。
アイノミドリシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | オスは6月下旬から7月頃。メスは10月頃まで見られる。 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | コナラ、ミズナラなど |
亜種 | なし |
アイノミドリシジミは”ゼフィルス”と呼ばれるシジミチョウの1群に属する蝶で、年1回発生し、6月下旬頃から成虫の姿を見ることができます。♂は6時から10時頃に活発に活動し、卍巴飛翔を頻繁に行います。よく似た主としてメスアカミドリシジミがいます。ジョウザンミドリシジミやエゾミドリシジミは翅の表がメタリックブルー色であるのに対して、アイノミドリシジミやメスアカミドリシジミはエメラルドグリーン色をしています。
メスアカミドリシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | ヤマザクラなど |
亜種 | なし |
メスアカミドリシジミは年に1回、6月から7月頃に見られるシジミチョウ科の蝶です。ゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群で、翅がエメラルドグリーンに輝く非常に美しい蝶です。多くのゼフィルスの幼虫はブナ科の植物を食べますが、メスアカミドリシジミはヤマザクラなどのバラ科の植物の葉を食べます。
オスは主に午前中に活動し、9時頃から正午頃まで卍巴飛翔をして占有行動をします。飛翔は俊敏です。
クロミドリシジミ
分布 | 本州と九州 |
生息環境 | 低山地から山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵 |
食草 | クヌギ、アベマキ |
亜種 | なし |
クロミドリシジミは本州と九州に生息するゼフィルスの1種です。北海道でも函館市の古い記録がありますが、その後の追認が無いため、真偽は不明です。
他のゼフィルスと同様に年1回の発生で卵で越冬します。成虫は6月頃から見られ、♂は8月には姿を消しますが、♀は10月頃まで生き残ることがあります。
幼虫の食樹は基本的にクヌギとアベマキですが、コナラやカシワ、ナラガシワからも幼虫が見つかることがあります。
♂は主に早朝の4時頃に活動し、クヌギなどの周辺を飛び回ります。また、夕方にも活動が見られますが、早朝ほど活発には活動しません。♀は基本的に終日不活発で、クヌギなどから離れることはほとんどありません。そのため、普段の生活の中では出会う機会は少なく、そういった意味では珍しい蝶と言えます。
ヒサマツミドリシジミ
分布 | 本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | オスは6月から7月頃。メスは10月頃まで。 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | ウラジロガシなど |
亜種 | なし |
ヒサマツミドリシジミはゼフィルスの1種で、日本の固有種です。年1回の発生で、オスは主に午後活動し、14時から16時頃に卍巴飛翔を行い占有行動をとります。
和名の”ヒサマツ”は島根県の久松(きゅうしょう)山に由来します。発見者が久松をヒサマツと読み間違えたことからヒサマツミドリシジミとなりました。本種の幼虫の食性については、1968年に主原氏らによってアカガシから卵が得られ、1970年に藤岡氏らによって主要植樹がウラジロガシであることが突き止められましたが、それまでは確実な山地は京都の杉峠か滋賀の比良山ぐらいしかなく、また、ゼフィルスの食樹が次々に解明された1950年代においても、本種だけは解明されなかったことから、非常に珍蝶として扱われていました。
1971年には本種の卵を手に入れるため、静岡県の阿部川上流の梅ヶ島において、チェーンソーでウラジロガシの大木を倒したとの報道がなされ、問題となったこともあるぐらい、熱狂的なファンがいた蝶です。
(画像引用:日本鱗翅学会会報(1962)『蝶と蛾』,12巻,3号,P64,日本鱗翅学会.)
キリシマミドリシジミ
分布 | 本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 7月から8月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | アカガシ、ウラジロガシなど |
亜種 | 日本亜種、屋久島亜種 |
キリシマミドリシジミは本州から九州まで広く分布しますが、生息地は局地的で、森林開発などで生息環境は狭まりつつあります。成虫は年1回の発生で、他のミドリシジミ類と比較して発生は遅く、7月から8月頃に見られます。
オスは9時から14時頃に活発に活動し、食樹の周囲を俊敏に飛翔して占有行動をとります。一方でメスは不活発で、食樹の葉の上で静止していることが多いです。
キリシマミドリシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種です。
ジョウザンミドリシジミ
分布 | 北海道、本州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | オスは6月下旬から7月頃。メスは10月頃まで見られる。 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | コナラ、ミズナラなど |
亜種 | なし |
ジョウザンミドリシジミは”ゼフィルス”と呼ばれるシジミチョウ科の一群で、メタリックブルーに輝く美しい蝶です。ゼフィルスの中では比較的良く見られる種で、福島県の磐梯山や青森県の岩木山などは多産地として知られ、多くのジョウザンミドリシジミが見られます。北海道では平地でも見られますが、本州では山地に生息しています。
オスは主に午前中に活動します。見た目が良く似ているエゾミドリシジミと生息地が重なることもありますが、エゾミドリシジミは午後に活動するため、時間帯で種類を凡そ見分けることができます。
エゾミドリシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から8月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | ミズナラ、コナラなど |
亜種 | なし |
エゾミドリシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種類です。オスの活動時間は午後で、15時から16時頃が活動のピークになり、卍巴飛翔を行い占有行動をとります。ジョウザンミドリシジミと見た目がよく似ており、生息地も重なることが多いのですが、ジョウザンミドリシジミは午前中活動するのに対して、エゾミドリシジミは主に午後に活動する蝶です。
成虫は年に1回の発生で、6月から8月頃まで見られます。メスの生き残りが9月頃まで見られることもあります。
ハヤシミドリシジミ
分布 | 北海道、本州、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から8月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | カシワ |
亜種 | なし |
ハヤシミドリシジミは、ゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種で、オスは翅の表面が青色に輝く非常に美しい蝶です。成虫は年1回の発生で、6月から8月頃に見られます。ハヤシミドリシジミはの幼虫はカシワの葉しか食べないため、カシワ林に生息しています。
オスは夕方ごろに積極的に活動し、16時から19時頃が活動のピークとなり、カシワ林の周辺を活発に飛び回ります。メスは基本的に不活発で、カシワの葉付近でじっと止まっていることが多いです。
ヒロオビミドリシジミ
※写真未撮影
幼虫の食草 | ナラガシワ |
活動時間 | 正午前後 |
ウラジロミドリシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | カシワ、ナラガシワ |
亜種 | なし |
ウラジロミドリシジミは北海道から九州まで広い範囲に生息する蝶で、成虫は年1回の発生で、6月から7月頃に見られます。ウラジロミドリシジミの幼虫はカシワやナラガシワを食樹としますので、カシワ林に生息しています。
オスは夕暮れ時に活動しますが、オスとメスともに日中は不活発で、葉の上に静止していることが多いです。
ウラジロミドリシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種です。
フジミドリシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | ブナ、イヌブナ |
亜種 | なし |
フジミドリシジミはゼフィルスの1種で、オスの翅の内側がエメラルドグリーンに輝く美しい蝶です。成虫は年に1回の発生で、6月から7月頃に見られます。オスの活動時間は主に夕方で、15時から17時頃にブナやイヌブナの樹の上を活発に飛び回ります。一方でメスは活発に活動せず、木の葉などに止まっていることが多いです。
フジミドリシジミの幼虫はブナやイヌブナの葉を食べるため、フジミドリシジミは産地のブナ林に生息します。フジミドリシジミは飛翔力が弱いため、風に吹き上げられた個体が山頂で見つかることもあります。
ウラクロシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | マンサク、マルバマンサク |
亜種 | なし |
ウラクロシジミは北海道から九州まで広く分布する蝶で、主に山地に生息します。成虫は年1回の発生で、6月から7月頃に見られます。越冬は卵でして、4月頃に孵化して5月頃に蛹になります。
オスは基本的に夕方に活発に活動し、18時頃が活動のピークになります。活動時間帯はそれほど高くない位置を緩やかに飛翔します。一方でメスは明確な活動時間はなく、葉の上で静止していることが多いです。
ウラクロシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種です。
ウスイロオナガシジミ
分布 | 北海道、本州、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | ミズナラ、カシワなど |
亜種 | なし |
ウスイロオナガシジミは年に1回発生し、6月から7月頃に見られます。分布は北海道から九州までと広いですが、九州では生息地が鹿児島県の1か所のみで、個体数も非常に少ないため絶滅が危惧されています。その他の地域でも基本的に生息数が少なく、出会う機会の少ない蝶です。
活動時間は早朝で緩やかに飛び回りますが、日中は不活発となり下草で静止していることが多い蝶です。花の蜜を吸うことは極めて稀で、樹液に飛来することがあります。
ウスイロオナガシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種です。見た目が似た主としてはオナガシジミとウスイロオナガシジミがいます。
ウラキンシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | アオダモ、トネリコなど |
亜種 | なし |
ウラキンシジミは日本にのみ生息する固有種で、北海道、本州、四国、九州に生息しています。平地に生息することもありますが、基本的には産地に生息する蝶です。ウラキンシジミという名前の通り、裏面が美しい金色をしていますが、地域による変異が見られ、北海道や東北地方の個体は裏面が美しい一方で、中国地方や四国、九州の個体は裏面が黒化する傾向があります。
成虫は年1回の発生で、6月から7月頃に見られます。日中はあまり活動せず、主に夕方から日没にかけて活動します。飛び方は緩やかで、オスの占有行動は見られません。
ウラキンシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種です。
ウラミスジシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地・山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃(メスは9月頃まで) |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | クヌギ、カシワなど |
亜種 | なし |
ウラミスジシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種です。成虫は年1回発生し、6月から7月頃に見られます。メスは産卵のため9月頃まで見られます。
昼間は基本的に活動せず、食樹の葉の上でじっとしていることが多いです。活動時間は基本的に夕暮れ時で、15時頃から活動を開始し、16時から17時頃がピークとなります。明確な占有行動はせずに木の周辺を飛び回ります。
生息する地域による変異があり、東北地方南部や関東、中部(長野県以外)、近畿、中国、九州に生息する個体はケルキボルス型となり、一方で北海道や東北地方北部と長野県では銀白条の模様が不規則に乱れるシグナタ型が発生することがあります。
オナガシジミ
分布 | 北海道、本州、四国、九州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 7月から8月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | オニグルミ |
亜種 | なし |
オナガシジミは北海道から九州まで広く日本に生息する蝶です。成虫は年1回の発生で、7月から8月頃に成虫が見られます。オナガシジミは、幼虫がクルミの葉を食べるため、クルミが生える平地や山地に生息します。
オスは主に夕方に活発に活動し、16時半過ぎから日没までが活動のピークになります。メスは活発に活動せず、下草で静止していることが多いです。オナガシジミは食樹からほとんど離れないことも本種の特徴です。
オナガシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種です。見た目が似た主としてはウスイロオナガシジミとミズイロオナガシジミがいます。
カシワアカシジミ
分布 | 北海道、本州 |
生息環境 | 平地、山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃まで |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | カシワなど |
亜種 | 名義タイプ亜種、冠高原亜種 |
カシワアカシジミはゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種で、アカシジミと見た目が非常に良く似る蝶です。野外においては、アカシジミとの雑種と考えられる個体も得られています。カシワアカシジミは主にカシワ林に生息し、幼虫はカシワを食草とします。成虫は年1回の発生で、6月頃に発生し、7月頃まで見られます。
日本では北海道と本州に局地的に生息する蝶で、生息環境の悪化などにより生息数の減少がしている傾向にあります。活動時間は主に昼過ぎから夕方ごろで、14時頃から16時頃にかけて活発に活動します。
ムモンアカシジミ
分布 | 北海道、本州(局地的) |
生息環境 | 山地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | オスは7月中旬から8月頃。メスは9月頃まで見られる。 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | クヌギ、カシワ、ブナなど。終齢幼虫はアブラムシなどを食べる半肉食性。 |
亜種 | なし |
ムモンアカシジミはゼフィルスの1種で、その名の通り、紋が無いアカシジミです。近縁種のアカシジミやウラナミアカシジミは、オスの活動時間が夕暮れ時なのに対して、ムモンアカシジミは正午前後に活動します。メスは飛ぶことが少なく、下草などでじっとしていることが多いです。
ムモンアカシジミの幼虫はアブラムシなどを食べる半肉食性であり、特殊な生態を持つことから生息域が局地的で、簡単に観察できる蝶ではありません。
チョウセンアカシジミ
分布 | 本州 |
生息環境 | 平地 |
発生回数 | 年1回 |
成虫が見られる時期 | 6月から7月頃 |
越冬の状態 | 卵で越冬 |
食草 | トネリコ |
亜種 | なし |
チョウセンアカシジミは日本では本州のみに生息し、本州の中でも岩手県、山形県、新潟県の3県にしか生息しません。また、この3県の中でも生息地は局地的で、普段の生活の中ではなかなか出会える蝶ではありません。過去生息していた場所でも、各種開発により絶滅した地域もあり、絶滅が危惧される蝶の1種です。なお、新潟県中部でもチョウセンアカシジミが見られますが、これは人為的に移入した個体です。
成虫は年1回の発生で、6月下旬頃から7月頃に見られます。日中は不活発で、主に夕方から日没頃に活発に活動し、緩やかに飛びます。飛び方はウラゴマダラシジミに似ます。
ゼフィルスと呼ばれるシジミチョウ科の1群の中の1種です。
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